モザイクブログ/モザイコカンポ

モザイコカンポ = Mosaico(モザイク の)Campo(原っぱ)。
 
モザイク工房モザイコカンポ(練馬区富士見台駅より徒歩5分)が主宰するモザイク教室・ワークショップ等のご案内や、モザイクに関するお話、日々の雑記等など徒然なるままに書き記すブログです。
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おすすめ本 磯崎新の建築談義#4 サン・ヴィターレ聖堂
Buon giorno.
おはようございます。

いかがお過ごしでしょうか。


今日は、モザイクの本をご紹介します。

磯崎新の建築談義04

『磯崎新の建築談義#4 サン・ヴィターレ聖堂 (ビザンティン)』
六燿社 発行



この本は、半分が篠山紀信によるサン・ヴィターレの写真、
残り半分が磯崎新のサン・ヴィターレの解説+ビザンティン建築のお話です。

 wiki→サン・ヴィターレ聖堂


篠山紀信の写真が素晴らしいんです。


ビザンティンモザイクにとってズマルトや金の輝きは非常に重要な要素。

美術館等に移されたモザイクではなく、
教会や聖堂のあるべき所にあるモザイクは、
綿密に計算された光源からのあえて抑えられた光をキラキラと反射させます。

そのテッセラの瞬き、煌めきが、幻想的な雰囲気をつくり出し、
観る者の心を揺さぶります。


しかしその雰囲気を本や図録に載せるのはとても難しいんです。

現地で観ている時は、建築とモザイクが装置として上手く働きますが、
印刷物に載ってしまうと切り離された「モノ」としてのモザイクになり、
そうすると「雰囲気」を伝えるよりも「形」を伝える事に重心が移動します。
「理解」の対象になり、はっきりと見える事が大事になって、
写真から現場の空気感が消され、のっぺりとした加工を施されます。

金のテッセラは金色に、赤いテッセラは赤色に塗られたように。

美術や世界史の教科書に掲載されているサン・ヴィターレのモザイクは、
ほぼ全て加工され、「モノ」として見えやすくされたものです。


しかし、この本の写真は、聖堂内の雰囲気を伝えてくれています。
光が当たっている部分の金は輝き、影の部分の金は暗く沈んでいます。
赤も、青も、緑も同じく。仰ぎ見た角度もそのまま。

教科書等とは違いワンカットではなく、
サン・ヴィターレだけに何十ページと割けるからというのもありますが、
より篠山紀信が、彼が「体験」しているモザイクを捉えようと、
光と時間と誠実に向き合った痕跡を感じます。

磯崎新の建築談義04

(聖堂内陣部分)

篠山紀信は3日間サン・ヴィターレに通い、3時間だけ光に恵まれたそうです。
8月の3時間の痕跡が濃密な70枚弱の写真。
臨場感溢れてます。



もちろん、磯崎新の建築談義もべらぼうに面白かったです。
読みやすく書かれていますが10回分の講義が凝縮したような密度。
これを読んでサン・ヴィターレに行ったら、一日出られませんね。


数少ない日本語で読めるモザイクの本の中でも、かなりおススメな一冊。
お近くの図書館にもあるのではないでしょうか。
もし見かけたら是非ペラっと表紙をめくってみてください。



話は変わりますが、昨日、プレゼントをいただきました。

ネックレス

ビーズのネックレスです!この子も光をキラキラ反射...
何と手作りです。すごい...ありがとうございます、Iさん。大事にします。



それでは、良い一日をお過ごしくださいね。
Buona giornata!


| モザイクの本 | 09:51 | comments(2) | trackbacks(0) |
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